亜麻（あま）はスウェーデン語でリン（lin）といい、亜麻を織った布はリネンと呼ばれています。

麻（あさ）と聞くと、「麻袋」でイメージするようなガサガサ、チクチクした苧麻（ラミー）を思い浮かべる方もいるかもしれません。ですが、麻の中でも「亜麻」は肌触りもよく、フランス語ではランといい、ランジェリーの語源でもあります。古くから高級衣類の素材として使われてきたのです。

「亜麻」は普段聞きなれませんが、「アマニ油（リンシードオイル）」や「亜麻色の髪」といった言葉のほうが耳にするかもしれませんね。

そんな亜麻は寒い土地で育ち、初夏には白やペールブルーの涼しげな花を咲かせます。その茎を乾燥させ繊維から糸を紡ぎ、その糸で織った上質な天然のリネンは、驚くほど丈夫で使うほどしっとりと柔らかく、吸水性、速乾性のある高級品として昔から好まれてきたのです。

ヴェクスボ リン社がある、スウェーデンのヘルシングランド地方では、西暦200年頃、バイキングが活躍した時代にはすでに亜麻が栽培されていたと言われています。

中世には、ここヘルシングランド地方では亜麻から作られたリネンは、税金をおさめるためなど、お金のように価値がありました。さらに18〜19世紀に産業として確立、発展したのです。

ヴェクスボはそのヘルシングランド地方にある小さな村で、ヴェクスボリンは「ヴェクスボのリネン」という意味です。（ちなみに、スウェーデン文字「ä」は、日本では特殊文字の都合で「ä」の代わりに「a」で代用（Växbo→Vaxbo)する場合があります）

ここヴェクスボには、1869年に建てられた機織りの工場がありましたが1950年代から使われることはなくそのまま放置されていました。

そして1985年に修復され、一度は途絶えたと思われたこの伝統技術は、再びこの地、ヴェクスボのトロール谷で息を吹き返し、美しいリネンを作り始めたのです。

ヴェクスボリン社は1989年に設立されて以降、栽培から織り、縫製、全てをここで手掛けており、職人によるこの伝統技術を後世に残していきたいという強い情熱と使命をもち続けています。