北欧の伝統曲を中心に、うねり、刻む、ダイナミックなリズム。
スウェーデンの伝統楽器ニッケルハルパ、フィドル(バイオリンの俗語)、ギターのトリオ。
スウェーデン、ヴェストマンランド地方の曲に加えオリジナル曲を、時に激しく、時に繊細に、トリオの個性が光るアレンジを聞かせます。
3人それぞれが異なるバックグラウンドを持つトリオですが、そのモダンな演奏のベースにスウェーデンの伝統音楽へのリスペクトが感じられます。またギターのFolkeはこのCDでスウェーデンのバグパイプやハリエダル地方の笛も演奏。
動画(youtube)
スウェーデンの伝統楽器ニッケルハルパとは -nyckelharpa, Swedish folk instrument
木製の鍵盤がついた弦楽器です。右手はバイオリンやチェロのような弓で弾き、共鳴弦(弦には触れずに音に共鳴し響く)があるのが特徴で、目の前で聞くと木の鍵盤がカタカタいう音、共鳴弦の澄んだ音色は耳にとても心地よく響きます。
古くは14世紀の教会のレリーフでもみられ、また似たような楽器は中世ヨーロッパ各地で教会の壁画などで痕跡が見られます。ですが、伝統楽器として定着したのはスウェーデンのウップランド地方。この地のみで演奏の歴史があり現在まで発展してきた楽器なのです。
1900年代に入り弾き手がほとんどいなくなるという危機的状況を乗り越え、その魅力は今や世界中の人々を虜にしています。
フィドル、バグパイプなど楽器について -Swedish folk instruments
「バイオリンとフィドルは違う楽器なの?」という質問を受けることがあります。フィドルは、バイオリンの俗語で全く同じ楽器です。俗語と聞くとますます「?」と思うかもしれません。パーカッションの類をまとめて「たいこ」と総称したり、トランペットを親しみをこめて「ラッパ」と呼ぶ感覚に少し似ているように思えます。クラシック音楽や高価で上品な楽器というイメージと違い、居酒屋や屋外の祭などで自由に演奏する楽器として英語ではフィドル、fiddleと呼びます。このCDでは、軽快なアレンジが多く、バイオリンという日本語からイメージするものと違うためフィドルとしました。
ただし、スウェーデンではバイオリンもフィドルも、クラシック音楽だろうと民俗音楽だろうと、区別せず「フィオール、fiol」です。
本来は、どんな音楽も同じ「音楽」です。あえて区別する時、それは、目にみえない境界線を自分で引いているということ。つまり、北欧をはじめスウェーデンには、音楽をジャンルで線引きする意識はなく、自然に生活に溶け込んでいるのでしょう。
スウェーデンの民俗音楽で使われる主な楽器は、このバイオリンです。
またバグパイプも一部みられますが、古くから現存するものはありません。スウェーデンの伝統音楽奏者が古い記録から研究し、こうであったろうと再現したこのバグパイプは、有名なスコットランドのバグパイプとは違って優しい音色です。
その他、伝統楽器には、リコーダーや柳笛、ニッケルハルパなどがあります。
Pastral musicと言う、放牧で羊飼いや牛飼いが歌う独特な歌など興味深いものも多くあります。
現代では伝統にとらわれず、ギター、アコーディオン、サックス、ピアノなど自由な組み合わせで楽しまれています。
Musicians
フォルケ・ダールグレン Folke Dahlgren
ギター、バグパイプ、笛のマルチプレイヤー。ハリエダル地方の笛でソーンメルケでは銅メダルを。ビルカ・フォルクホーグスコーラとフリドヘム・フォルクホーグスコーラで、ジャズインプロビゼーション(即興音楽)を学ぶ。
エンマ・スベンスク Emma Svensk
Musikghögslokan Ingesundにてバイオリン教育を学ぶ。そのレパートリーは、クラシック音楽から伝統音楽まで幅広い。伝統音楽のジャンルで、ヴェストマンランドのヴェステロース市の文化奨学生に選ばれる。
ジョセフィーナ・ポールソン Josefina Paulson
王立音楽院、またエリック・サルストレム・インスティチュートにてニッケルハルパを学ぶ。2008年リクスペルマン(伝統音楽奏者へ与えられる称号)に。ブロール・ユート奨学生など複数の賞に選ばれる。Swapメンバーのカリーナ・ノルマンソンとのデュオや、Bowing9などでも活躍するヨーナス・オーケルンドとのデュオ、Trio schedinなど様々なミュージシャンと活動
CD添付の解説:スウェーデン語/英語
※日本語の要約の別紙をお付けしています。スウェーデン伝統音楽について、ニッケルハルパについてなどのミニコラムも。
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